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<22>萩大名(はぎだいみょう)
長い間京都にいた大名が気晴らしに出かけることにしたのですが、この辺は大体見てしまったので珍しい所へ行きたいと考え、太郎冠者に相談します。
太郎冠者は、下京の辺りにとても良い造り庭を持った人がいるのでそこに行きましょうと提案します。ところがその庭の亭主は和歌が好きで、拝観料として和歌一首を詠まないといけないというルールがあるのでした。
大名が和歌が苦手でしたが太郎冠者があらかじめ考えておいた和歌があるので、それを覚えるということになりました。ところが、物覚えが悪い大名は和歌を覚えられません。その和歌は「七重八重 九重とこそ思いしに 十重に咲き出づる 萩の花かな」というものでした。
太郎冠者はなんとかして覚えさせようと扇の骨の本数十本を使って「七重八重」の時に七本と八本、「九重とこそ思いしに」の時に九本、「十重に咲き出づる」で十本をパラリと開いて見せますと大名に教えます。そこで問題なのが最後の「萩の花かな」。太郎冠者は自分のふくらはぎと鼻を指差して覚えてもらおうとします。
和歌の打ち合わせもうまくいって造り庭を見に下京に向かい、そしていざ和歌を詠むことになりますが大名はちゃんと詠めるはずもありません。案の定、ハチャメチャな和歌になってしまいます。
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| (2007.09.07) |
<23>呼声(よびごえ)
ご主人様は、許しなしに外出した太郎冠者を叱ろうと次郎冠者を連れ太郎冠者の家に向かいます。太郎冠者の家の前まで来たところでまず次郎冠者に呼び出させます。太郎冠者は素早く察知し、となりの者と偽って居留守を使います。次にご主人様が作り声で呼び出してみるとまた作り声で居留守を使います。
平家節で呼び出せば平家節で、小唄節で呼び出せば小唄節で次々と居留守を使うので、最後にご主人様と次郎冠者のふたりで踊り節のリズムにのって呼び出します。ノリのいい踊り節につられて太郎冠者はまた居留守を使おうとしますが… |
| (2007.09.14) |
<24>ニ九十八(にくじゅうはち)
妻をもらうために清水の観世音にお願いに来た男。するとその男にお告げがありました。それは「西門の一階(きざはし)に立った女を妻にしなさい」というもの。男は大喜びで向かいます。
お告げの通り女は立っていましたが、男は恥ずかしくて声をかけることができません。それでも何とか声をかけてみると「つまもなき わが身ひとつのさごろもに 袖をかたしく ひとり寝ぞする」と和歌を詠んだではありませんか。男はお告げの妻だと確信し、女の住んでいる所を尋ねます。すると「わが宿は 春の日ならの 町の内 風のあたらぬ 里とたずねよ」とまた和歌で返してきました。男はその和歌で女の住まいが室町ということはわかりましたが何軒目かがわかりません。男は「春日なる 里とは聞けど室町の 角よりしては いくつめの家」と詠んでみると女は「二九(にく)」と言ってどこかへ行ってしまいます。
男は「二九(にく)だから十八軒目の家だろう」と理解して早速向かいます。そして室町の十八軒目の家に行ってみるとその女はいました。女は被衣(かずき)をかぶっていて顔は見えませんがお告げの女なので無事に婚礼の盃も終え対面しようと被衣(かずき)をとろうとすると恥ずかしがって嫌がります。それでも力ずくでとってみると、ものすごい顔をした女がそこにいるではありませんか。男はびっくりしていろいろと言い訳をして逃げていくのでした。 |
| (2007.09.21) |
<25>舎弟(しゃてい)
兄の所へ行くといつでも「舎弟、舎弟」と言うのでどんな意味なのだろうと知り合いの所に尋ねに行った弟。知り合いの男は兄弟喧嘩をさせてやろうと「舎弟は盗人のことだ」と嘘を教えます。
怒った弟は文句を言いに兄の元へ向かいます。兄は「舎弟とは弟のことだ」と説明しても、弟は全く信じません。それどころか兄がかつて天目茶碗(てんもくちゃわん)を盗んだり、まだらの牛の白い所を墨で塗って黒い牛にして売ったりしたことを引き合いに出して、天目茶碗のまだら舎弟と言って罵ります。結局、兄弟喧嘩になってしまいます。 |
| (2007.09.28) |
参考文献/金子 直樹 , 吉越 研「狂言鑑賞二百一番」淡交社
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