|
|
<30>盆山(ぼんさん)
ある男が盆山(お盆の上に山や小川など色々な景色を造り楽しむもの)が欲しくてたまらないので、盆山をたくさん持っている人の所へ盗みに入ります。正面玄関は警備が厳しいので裏に回って垣根を引き破ってなんとか侵入します。
男は何度も盆山をもらいにその家には来ているので、家の間取りはわかっていました。そして盆山が飾ってある座敷にやってきてどれを盗もうか選んでいると、盆山の持ち主が物音に気付き太刀を持って見回りに来たではありませんか。
男はとっさに盆山の陰に隠れますが隠れられるはずもなく、盆山の持ち主に正体がばれてしまいます。
ところが男は盆山の陰に隠れ続けるので、盆山の持ち主はちょっとからかってやろうと考えます。盆山の持ち主は、男に、盆山の陰に隠れたのは人じゃなくて犬だ、猿だと言うと男は犬の鳴きまねや猿の鳴きまねをしてなんとかやり過ごそうとします。
ところが次に隠れているのは魚の鯛だと言われ…。 |
| (2007.11.02) |
<31>口真似(くちまね)
ご主人様が、ある人からお酒をもらったので誰か酒の相手を探して来いと太郎冠者に命じます。
太郎冠者はある男を連れてきますが、その男というのはお酒を一杯飲むと刀を一寸抜き、二杯飲むと二寸抜くという恐ろしい男でした。そのためご主人様は、太郎冠者に追い返せと命じますが、今後の事も考えて一緒にお酒を飲むことにしました。
お客さんに粗相があってはいけないので、ご主人様は「言うようするようにせい」と太郎冠者に命じます。
さて男とお酒を飲むことになったご主人様、太郎冠者にお酒を取って来いと命じると太郎冠者はお客さんに同じように命令し、ご主人様がお客さんの場所を移動させると太郎冠者は同じようにまねをしてお客さんを移動させるので、頭にきたご主人様は太郎冠者を引き回して投げつけ自らお酒を取りにいきます。
さて、ご主人様のまねをしろと言われている太郎冠者ですので…。 |
| (2007.11.09) |
<32>伯母ヶ酒(おばがさけ)
ある酒好きの男・太郎が、酒屋である伯母さんのところに酒をタダで飲みに行こうと考えます。
ところがこの伯母さんはものすごくケチな伯母さんでタダで酒を飲ませてくれたためしがありません。太郎は自分の住んでいるところは酒が流行っているのでそこの皆に売るために味見をする口実でタダで飲もうと考え、伯母さんの酒屋に向かいます。ところが伯母さんはいつものようにお酒を振舞ってくれません。
そこで太郎はこの辺に鬼が迷い込んだらしいから伯母さんはひとりで住んでるから気をつけて、と嘘の情報を流して伯母さんと別れます。
その後、太郎は鬼の面をつけて鬼になりすまし、伯母さんを脅します。伯母さんが本物の鬼が出たと思い込んで恐怖でうずくまっている隙に、男は酒を飲み始めます。鬼の面をつけながら酒を飲むのは飲みづらいので面を顔の横にずらしたり、自分の膝に引っ掛けて横になって酒を飲んでいるうちに男は酔って眠ってしまいます。
鬼が静かになったので伯母さんが顔をあげて見てみると、甥の太郎が鬼の面を膝に引っ掛けて酔って寝ているではありませんか。頭にきた伯母さんは太郎を起こして叱りつけます。太郎は酔っ払ったまま逃げてゆきます。 |
| (2007.11.16) |
<33>鳴子遣子(なるこやるこ)
茶屋は、いつものように街道に店を出します。
一方その頃、ある男二人が野遊山(ハイキング)に出掛けました。
野山の様々な景色を眺めているうちに、一方が、山の田んぼに掛けてある鳴子(なるこ)までが眺めになるというと、一方はそれは鳴子ではなく遣子(やるこ)だと言い合いになります。
互いに引かないので自分たちの刀を賭けて誰かに判断してもらうことにします。
そこで街道の茶屋で判断してもらうことになりますが、一方は薪を、一方は炭をあげる約束をし、自分の方に判断をするように賄賂(ワイロ)を送ります。
茶屋は西行(さいぎょう)お坊さんが諸国をまわる修行をしていた物語をしながら判断をし始めます。そして、西行の和歌に「賎(しづ)の男(お)が、山田に掛けし鳴子綱、曳(ひ)いて放せば遣子なりけり」というものがあると教え、鳴子でも遣子でもどちらも同じこと、いらない賭け事はしないものだ、昔から奪い合うものは中から取るというからこの刀は私がもらっていくと言って、刀を持って逃げてゆきます。
|
| (2007.11.22) |
<34>蝸牛(かぎゅう)
ある山伏(山で修行してすごい力を得た人)が、修行を終え故郷に帰る途中に眠くなったので、竹藪に入って居眠りをします。
一方その頃、長寿のおじいさんを持った男がおじいさんをもっと長生きさせるため蝸牛(かたつむり)を食べさせようと考え、召使いの太郎冠者に蝸牛を探してこいと命令します。太郎冠者は蝸牛がどのようはものか知りません。ご主人様は蝸牛は頭(かしら)が黒くて、腰に貝を付け、角を出すもので藪には必ずいて大きいものは人間くらいはあるものだと教えます。
太郎冠者が村はずれの大藪に向かい蝸牛を探していると、そこに寝ていたのは山伏。しかし、太郎冠者は山伏が蝸牛だと思い、起こして山伏に尋ねます。
山伏は常識知らずのものが来たのでからかってやろうと、蝸牛になりすまします。
太郎冠者は山伏をご主人様のもとに連れて行こうとしますが、山伏は囃子物がないと(リズムにのらないと)ご主人様のもとにはいかないと言い、太郎冠者に音頭をとらせます。その囃子物(はやしもの)というのは「雨も風も吹かぬに、出な釜打ち割ろ」というと「でんでん虫々、でんでん虫々」と返すというもの。楽しい囃子物なので山伏と太郎冠者で一緒になって囃していると、ご主人様が様子を見にやって来ます。ご主人様は太郎冠者が山伏に騙されていると気付き、太郎冠者に知らせますが楽しい気分なので聞く耳を持ちません。
そして挙句の果てにはご主人様も…。 |
| (2007.11.30) |
参考文献/金子 直樹 , 吉越 研「狂言鑑賞二百一番」淡交社
|
|