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<53>腰祈(こしいのり)
修行を終えたばかりの駆け出しの山伏は成長した姿を見せるため祖父の家にやってきました。ところが祖父と対面したはいいものの山伏を子供扱いして飴や子犬をあげるなどと言われてしまいます。
自分の成長を見せたい山伏は祖父の曲がった腰を山伏の行力でまっすぐに伸ばしてみせようと言います。山伏が「ボロンボロ」と祈り始めるとみるみる祖父の腰はまっすぐに伸びていくではありませんか。久しぶりに天を拝むことが出来たと喜んだ祖父でしたが、ずっと上を向いたままだと聞いて元に戻して欲しいと山伏にお願いします。
山伏は願い通りまた祈り始めますがうまくいかず祖父は転んで倒れてしまいます。これではだめだと太郎冠者に祖父の腰を杖で支えさせながら祈りますがこれもうまくいかず、怒った祖父は杖を持って山伏を追いかけていくのでした。 |
| (2008.5.2) |
<54>鐘の音(かねのね)
ご主人様は息子が成人したので、お祝いに黄金の熨斗付けにした刀(豪華な刀)を贈ろうと太郎冠者に鎌倉へ【
付け金(刀の一部)の値 】(つけがねのね)を聞いてこいと命令します。太郎冠者は鎌倉へ【
撞き鐘の音 】(つきがねのね)を聴いてくると聞き間違えて鎌倉に向かいます。
五大堂・寿福寺・極楽寺と撞き鐘の音を聴いてまわりますがいずれも割れた「グワン」という音や小さな「チーン」という音や響きのない「コーン」という音でしっくりきません。ところが最後に訪れた建長寺の鐘の音は「ジャンモンモン」と音といい響きといい素晴らしいものだったので、ご主人様の元に帰り鐘の音を聴いてきたことを話すと、ご主人様は太郎冠者の聞き間違えに激怒して太郎冠者を追い出そうとします。
するとそこに仲裁人が現われて、太郎冠者が鎌倉中の鐘の音を聴いてきた様子を舞にしてお見せするので、太郎冠者を許してあげて欲しいと提案すると、ご主人様は仕方なく了承して太郎冠者は鐘の音の舞を披露して許してもらうのでした。 |
| (2008.5.9) |
<55>成上り(なりあがり)
ご主人様は太郎冠者に太刀を持たせて清水(きよみず)に参詣に行き、拝礼をした後に太郎冠者とともにその場に籠ることにしました。
そこにやってきたのはすっぱ(詐欺師)。ぐっすり眠っている太郎冠者が持つ太刀を杖竹にすり替えて逃げていってしまいます。
帰りの道中、太刀が杖竹にすり替わっていることに気付いた太郎冠者は、嫁が姑になるのは早いとか、子犬が親犬になるのは早いとか、渋柿が熟し柿になったり、山芋が雨による土砂崩れで川に流れて鰻になるとか、様々な成上りの話をします。
また、田辺の別当の太刀がくちなわ(蛇)に見えたと言い、人が出世する時はいろいろな物が変じて成り上がるとこじつけて、ご主人様が出世する前兆で太刀が竹杖になったと言ってみますが結局、ご主人様に叱られてしまいます。 |
| (2008.5.16) |
<56>茶壺(ちゃつぼ)
ご主人様の命令でお茶の買い付けに行った男は、帰りの道中に酒に酔って道端で寝てしまいます。そこへ現われたのはすっぱ(詐欺師)。眠っている男が肩に負っている茶壺の片連尺(片方の肩紐)を自分の肩にひっかけて寝たふりをします。
やがて酔いが覚めた男は見知らぬ男が自分の片連尺に肩を引っ掛けていることに気付き、さらに自分を茶壺の泥棒扱いしてくるので周りの人に助けを求めると、そこに仲裁人がやってきます。仲裁人は茶壺の持ち主の男の素性を尋ねますが、その内容をすっぱは盗み聞きして難なく仲裁人の質問に答えてしまいます。またお茶の入り日記(内容目録)を尋ねてみると、男は謡と舞を織り混ぜて説明します。これもすっぱは盗み見てまねしてしまうので、今度は相舞(ふたり同時に舞う)で判断しようとしますが結局判断できず仲裁人は茶壺を横取りして逃げて行ってしまうのでした。 |
| (2008.5.23) |
<57>節分(せつぶん)
節分の夜に夫は出雲大社に行ってしまったので、妻はひとり家で留守番をしているとそこに鬼がやってきます。家の外からその女の姿を見て一目惚れしてしまった鬼は、女の家の戸を叩きます。女が戸を開けてみるとそこには何もいません。それもその筈、鬼は蓬莱の島の宝、隠れ蓑に隠れ笠を着ているので姿が見えないのです。鬼は両方とも脱いで再び女の戸を叩きます。すると女は鬼の姿を見てびっくりしてしまいます。鬼は自分の気持ちを小唄を謡いながら表現しますが一向に心を開いてくれないので鬼はついに泣き出してしまいます。仕方がないので蓬莱の島の宝をくれたら妻になるという約束をし、隠れ蓑と隠れ笠をもらうと女は豹変して鬼に豆をぶつけて追い出してしまうのでした。 |
| (2008.5.30) |
参考文献/金子 直樹 , 吉越 研「狂言鑑賞二百一番」淡交社
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