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<58>鎌腹(かまばら)
家の仕事を全くせず、外泊ばかりする夫に怒りが爆発した妻は、鎌を振り上げて夫を追いかけているところでした。そこに仲裁人がやってきてなんとかおさめ、鎌を持たせて太郎を山仕事へ向かわせます。
妻に殺されるくらいなら自殺してやろうと考えた太郎は、鎌を使ったいろいろな死に方を試みますが日頃の臆病が出てなかなか死ぬことができません。そこに夫が自殺しようとしているとの噂を聞いた妻がやってきて、何とか自殺を思い止らせようとするので、太郎はそれなら代わりに自殺してくれと妻に言うのでまた妻の怒りが爆発して太郎は逃げていくのでした。 |
| (2008.6.6) |
<59>千切木(ちぎりき)
ご主人様は連歌の会(集まって和歌を出し合って楽しむ会)の世話役になったので、太郎冠者にいつものメンバーを集めてくるように命令します。太郎冠者がいつものメンバーに連歌の会があることを伝えると、やがて皆さんがやってきました。みんなで集まって連歌を考えていると、そこに現われたのは嫌われ者の太郎。誘ってくれなかったことに不平不満を言い、生け花や掛け軸にケチをつけるので、怒りが爆発した連歌の会の皆さんは太郎をボコボコに痛めつけてやるのでした。
倒れてうずくまっている太郎の元へ、夫が痛い目にあっているという噂を聞いた妻が棒を持って駆けつけ、臆病な太郎に持ってきた棒で仕返しをするように言います。太郎は恐る恐る妻と仕返しをしに行きますが、どの家も留守であったので急に元気になり意気揚々と謡いながら妻と帰って行くのでした。 |
| (2008.6.13) |
<60>磁石(じしゃく)
遠江国(とおとうみのくに)の見附に住んでいる田舎者が京に行く途中、大津松本の市に立ち寄った時にすっぱ(詐欺師)が言葉巧みに近付いてきて、田舎者を安心させて宿へ連れ込んで宿の亭主と人身売買を成立させます。ところが田舎者はその様子を隠れて見ていたので、すっぱよりも先に朝早く起きて宿屋の亭主を騙して金を受け取って逃げて行ってしまいます。
朝起きて田舎者がいないことに気が付くと、すっぱは宿屋の亭主に太刀を借りて田舎者を追いかけ、田舎者に追いつくと太刀を振り上げ斬ろうとします。田舎者はとっさに大口を開け太刀を呑もうとします。田舎者のあまりの迫力にすっぱは田舎者に何者だと尋ねると田舎者は磁石の精だと言い、すっぱが太刀を鞘に納めると田舎者は「ほいっ」と目を回して倒れてしまいます。
磁石の精が死んでしまったと思ったすっぱは、田舎者が倒れている磁石の枕元に太刀を置いて祈っていると田舎者はその太刀を奪って逃げていてしまい、騙されたと気付いたすっぱは田舎者を追いかけて行くのでした。 |
| (2008.6.20) |
<61>左近三郎(さこのさむろう)
左近三郎という狩人が山へ狩に行く途中で出家と出会ったので、からかってやろうと道中を共にすることにしました。左近三郎は出家が禅宗の坊主だとわかると酒は呑むかとか魚は食べるかとか妻はいるかとか様々な質問をし、出家が否定すると持っている弓矢で脅して無理矢理に肯定させてからかっていました。
あまりにも面白いので左近三郎は出家に檀家にして欲しいと願いますが、出家は左近三郎が狩人ということを知り、殺生を生業にしている人を檀家にしたくないと断ります。すると左近三郎は禅宗の達磨大師の教えを引き合いに出して殺生をしても科はないというと、猪(しし)を射たら猪(しし)になってしまうと出家は説きます。すると猪を射て猪になるなら出家を射て出家になろうなどとふたりで禅問答のようなものを繰り返すうちに次第に打ち解け、仲良く歩いて行くのでした。 |
| (2008.6.27) |
参考文献/金子 直樹 , 吉越 研「狂言鑑賞二百一番」淡交社
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